有機栽培という言葉を聞いてなんだか自然な感じがする・・とか有機質の肥料等を沢山使っている農業・・というようなお話をお客様から聞くことがあります。では、実際に有機栽培とはどのような栽培方法なのでしょうか?最も簡単な説明としてわかりやすいのは化学的に合成されている農薬、化学的に合成されている肥料などを使用しない、さらに遺伝子組み換え技術使用した種苗などを使用しないなど・・・と説明ができる農業の方法かと思います。そんな化学的な農薬とか、化学的な肥料と言われても何のことかわかりにくいものですが基本的には自然界に元々存在していないものを人間の化学力によって合成、精製されているものがそれにあたります。
あらためて肥料や農薬をよく見ていると流通している9割以上のものが科学的に合成された成分を含んでいたり、化学的に精製されてきているものであることがわかります。近年の世界的な人口増加に対する食糧供給への貢献度は大きなものがありますが・・半面、それに対する依存度、また、過度な使用によって副作用のように予期せぬ弊害が発生しているのも事実です。
化学合成農薬の殺虫剤についても作物に対する害をもたらす害虫だけでなく近隣に生息するそのほかの易虫に対しても過度な影響を与えてしまう事象が起こっています。さらに、使用される場面によっては散布される濃度、回数などを守らないなど、ほかにも使用する作物を違えることなどによって生産される農産物から消費者の方々への影響、生産者自身への影響も発生してきています。
また、近年化学合成肥料の成分が近隣河川に流亡することによって下流の水道水水源に取り込まれ上水道の水からほかの物質と結合した化合物として検出されるような事も発生しています。
三和農産では農業の現場から改めて消費者の皆様にお伝えしたいと思っています。
ちなみに有機農産物として日本国内で販売するためにはJAS法と言う法律に従って表示することが求められています。JAS法では苗を植える2年以上前から化学的に合成されている資材を使用投入せずに栽培する事、遺伝子組み換え種苗を使用しない事、法律に従い栽培履歴、使用資材、販売先についても記録を残していること、すべての作業についてマニュアル作成してそれに基づき作業を進め記録を残していることなどが求められます。さらに第三者の認証機関の監査を年に一度受けることなどが義務化されています。今まで述べた全ての行程を経て初めて有機JASマークを貼付して有機表示を行うことができるようになります。
今までご説明してきたところですが・・・ほかの生産者の方から化学農薬、化学肥料を使わずに数年栽培しているけど、うちは有機栽培ですか?とのお問合せを頂くことがあります。栽培方法としては有機栽培と言えるかもしれませんが先ほどのJAS法によると有機栽培米と表示することはできません。ここのところが現在の有機認証制度の弱いところではないかと思います。
基本的には自然環境と共生して持続可能な農業の方法としてとらえた方が生産者、消費者、周辺の生活者、近未来の人々にとってメリットが大きいことであると考える必要があるかもしれません。
もう少し付け加えるならば今までより化学農薬や化学肥料を半分に減らすことからでも周辺環境に与える影響を軽減できること、これでも十分に評価できるのではないかと考えられるのではないでしょうか?